元アスリートのDr.kです。
もしかして、こんなお悩み抱えていませんか?
悩み
- しっかり寝ているはずなのにいつも眠たい
- 仕事中、勉強中、瞬間的に寝落ちしてしまう時がある
- 食事や運動に気を使っているのだけど、いつも体がダルイ
- 物覚えが最近悪く、勉強していても記憶の定着が悪い
それってもしかすると睡眠負債がたまっているのかもしれませんよ!
今回の記事は、以上のお悩みを解決できる可能性のある情報を提供いたします。
睡眠負債がもたらす体への弊害
睡眠負債とは?
睡眠負債という言葉は、あまり聞きなれない言葉かもしれません。
ちなみに世界から見て、日本人は典型的に寝不足だと言われているようですが、その寝不足状態こそが睡眠負債です。
どういうことかと言うと、例えば理想の睡眠時間を7時間だとします。
毎日7時間ほど睡眠がとれていれば良いのですが、仕事で夜まで忙しかったり、スマホやパソコンで夜更かしをしていると、夜間の睡眠時間が短くなってしまいます。
それが一時的なものであれば、別な日にしっかり眠ることで不足分を補うことが出来ますが、これが慢性的な寝不足状態が続いてしまうと不足分を取り戻すことが出来なくなってしまいます。
注意
お金の借金が雪だるま式に増え、返済のめどが立たなくなってしまうように、睡眠不足が慢性化すると返済が出来ない状態になってしまうのです。
これが『睡眠負債』になります。
この睡眠負債が、私たちの脳や身体に様々な悪影響を及ぼしており、これを解消しないと以下のような症状に悩まされるようになります。
たくさん寝ているはずなのに眠たい
『今日は9時間も寝たから大丈夫!』
一日平均6時間睡眠の方にとっては、9時間睡眠は良く寝たなと感じるかもしれません。
でも、たくさん寝たからと言っても意外と眠かったりしませんか?
休日に9時間の睡眠をとったとしても、ベッドで横になっていれば自然と眠りに落ちるものかと思います。
睡眠負債に関しては以下のような検証結果が実際にあります。
※下記は1994年に行われた アメリカ人のウィリアム・C・デメント教授(睡眠負債という表現を用いて睡眠不足に警鐘をならした人物)の実験
実験内容
若く健康な8人の被験者に、毎日同じ時間にベッドに入り、好きなだけ眠ってもらいます。
ルールとして、眠れても眠れなくても、必ず14時間ベッドで横になっていることを課し、4週間にわたっての睡眠時間の変移を調べました。
典型的な被験者の実験前の平均睡眠時間は7.5時間です。実験初日は、ベッドにいなければいけないと決められた14時間のうち、13時間眠れ、二日目も13時間近く眠れました。
しかし、日を追うごとに睡眠時間は減少していき、3週間後には睡眠時間が8.2時間になり、それ以上睡眠時間が減ることはなくなり、そこで固定されました。
このことから、この被験者が生理的に必要とする睡眠時間は8.2時間であると判明され、実験前の平均睡眠時間は7.5時間であることから一日に不足していた睡眠時間は約40分ということも分かりました。
そして、睡眠不足を取り戻すために3週間もの時間を要したのです。
※スタンフォード大学教授が教える 睡眠の習慣(PHP新書)の文章を部分的に引用
以上の実験の結果から、私たちは一度に十分な睡眠をとったとしても、睡眠不足(睡眠負債)を解消するほどの結果にはつながらないということが分かります。
たくさん寝ていてると思っていても、実はたまりにたまった負債の一部を返済しているに過ぎないわけですね。
自律神経が乱れ、体のあちこちに異常な症状が出始める
睡眠不足で心配されるのが、自律神経の乱れです。
自律神経の働き
自律神経は、呼吸、発汗、血流、体温調整など自分の意志ではコントロール不可能な働きをしており、さらに自律神経には交感神経と副交感神経と呼ばれる神経が存在し、この2つの神経のバランスがうまく保たれていることで、私たちは正常な暮らしが出来ていると言えます。
通常、十分な睡眠をとっている方であれば自律神経のバランスを整える作業が睡眠時に行われるのですが、寝る時間が少なかったり、睡眠の質が悪かったりすると自律神経のバランス調整機能がうまく働きません。
私達が社会生活を営んでいる以上、自律神経に影響を及ぼすストレスを完全に回避することは出来ませんが、睡眠時に乱れた自律神経を調整してくれているので、健康状態を正常に保つためにはしっかり睡眠をとる必要があるのです。
『自律神経の主な症状は以下の通り』
注意
冷え、頻尿、動機、だるさ、イライラ、便秘、めまい、頭痛
このような症状のある方は要注意です!
ちなみに、私の友人で自律神経失調症にかかってしまった方がいますが、その方は生まれたばかりの双子の世話で寝る暇もないくらい忙しく、夜泣きが夜通し続く日々が続いたことで十分な睡眠をとることが出来ず、ついに自律神経を病んでしまいました。
症状としては、頻尿、だるさ、イライラ、頭痛、常に眠たいなどの症状があり、一番厄介だったのが頭痛で、子供の泣き声が脳内に響き、脳天をつきぬけるような激しい痛みが出ると言っておりました。
重症化して、コオロギの泣き声ですら痛みが出るし、耳栓をしても全く効果がなかったようです。
仕事や子供の世話でストレスを感じ、さらに睡眠不足により一気に自律神経を壊してしまったのでしょう。
十分な睡眠がとれていれば回避できたかもしれません・・・
記憶の定着に弊害 アルツハイマーや認知症のリスク
睡眠は記憶の定着にも関係しており、十分な睡眠をとっている人は記憶の定着がよく、そうでない方では記憶の定着が悪いようです。
また睡眠時に記憶が整理されることも分かっており、記憶の定着と睡眠がいかに重要であるかが分かります。
現在では、それが様々な実験や統計によって実証されており、一夜漬けの勉強が非効率であることが分かっています。
また、睡眠時には脳内にたまった老廃物を排出する働きがあるようで、
ポイント
睡眠時には脳の老廃物を洗い流す機能があり、起きているときよりも眠っている時のほうが、4~10倍ほど活発に行われているようです。
※スタンフォード大学教授が教える 睡眠の習慣(PHP新書)から引用
朝活すると勉強や仕事に集中できて気分が良いと感じるのは、脳内の記憶が整理されていることと脳内にたまった老廃物が除去されているからだと思いますが、睡眠が不足すると、脳内のゴミ処理が十分に行われず、老廃物が沈着してしまいます。
現代では、この老廃物の沈着が、アルツハイマー病、認知症などのリスクを高めていると分かってきているようです。
睡眠負債の解消方法
さて、睡眠負債による影響が深刻であることが分かりました。
では、睡眠負債を解消するにはどうしたら良いのかご紹介していきます。
とにかく寝る時間を確保する
いたってシンプルな答えですが、睡眠負債を解消するにはとにかく寝るしかありません。
解消するのほどの時間が確保できなくとも、これ以上睡眠負債が増えないよう努力する必要があります。
仕事や家事が忙しくて睡眠時間が確保できない方が多いのは分かりますが、寝る以外に方法はありません。
日々の作業を効率化し、家族にも協力をお願いし、出来るだけ早めに床につき、眠る時間を確保できるよう努力していきましょう。
自分に必要な睡眠時間を知る
目安としては7時間くらいの睡眠時間を目指しましょう!
もちろん、人によって必要とされる睡眠時間が異なるため、7時間では足りない方は時間を増やしたりすると良いですし、7時間未満ですっきり起きられる方は減らすなどしてください。
7時間をベースにし、目覚めのスッキリ感で増減していくと自分に必要な睡眠時間が分かってきます。
ポイント
もしくは、休日に好きなだけ時間を作れる方であれば、目覚ましをセットしないで自然に目覚めるまで寝てみてください。普段の睡眠時間より2時間以上眠ってしまうようであれば、睡眠負債は相当たまっているはずです。
その場合、普段の睡眠時間を意識的に30分増やしてみると良いでしょう。それを3か月続けてみて、同じく休日に好きなだけ寝てみましょう。
もし睡眠時間に差がなくなってきているようであれば、睡眠負債を解消できている可能性があります。
※スタンフォード大学教授が教える 睡眠の習慣(PHP新書)の文章を引用
質の高い睡眠を目指す
たくさん寝ることも重要ですが、睡眠の質も重要です。
睡眠時には、成長ホルモンと呼ばれる物質が分泌されますが、このホルモンは、細胞の増殖や正常な代謝の促進などの役割を担っており、しっかり疲れをとるためには成長ホルモンをしっかり分泌させる必要があります。
成長ホルモンは入眠直後の深い睡眠時に70~80%が分泌されるため、睡眠に入るまでのプロセスが非常に重要であり、睡眠の質を決めると言ってもいいでしょう。
寝る前の行動次第で睡眠の質も決まってくるため、対策が必要となってきます。
対策については下記の別記事にて掲載してますので、そちらをご参照ください。
まとめ
さて、ここまで睡眠負債がもたらす弊害と睡眠負債の解消方法をお伝えしてきました。
私自身、寝ても寝ても眠たい状態が続いていた時期があり、会社の上司と食事をしている最中に居眠りしてしまうレベルでした。
それは私自身の意欲や性格的な問題なのではと自分を責めたときがありました。
しかし、睡眠負債という言葉を知ったことで、私個人の意欲や性格的な問題ではなく、睡眠負債がたまっていたのだなと納得することが出来ました。
もともと睡眠時間の長い私は、短時間睡眠には向いていないことが分かりましたので、今では出来る限り睡眠時間を多くとるように心がけています。
寝すぎが悪いわけではなく、睡眠が足りていないから眠気が襲ってくるのです。
以上、本記事が皆様のお役にたてれば幸いです。
『参考文献』
:スタンフォード大学教授が教える 睡眠の習慣(PHP新書) 著者:西野精治
:読むだけで自律神経が整う100のコツ 決定版 主婦の友社(編集)