※このページは2019年8月15日の『巻機山 割引沢からゆく天狗尾根 日帰り登山』の登山記録となります
巻機山 割引沢~天狗尾根登山コースの詳細と難易度
- 所在地 :新潟県南魚沼市、群馬県利根郡みなかみ町にまたがる日本100名山の山
- 標高 :1,967m
- 登山適期:9~10月 夏場でも割引沢に残雪が残るため、秋の登山がオススメ
- 難易度 :超上級者けの日帰り登山コース ※沢の状態次第でリスクは高くなる
- 体力度 :※10段階中『5』
- 危険度 :※10段階中『8~9』 ※時季によってグレードは変化
- コース :登山コースの約半分は整備のされていないバリエーションコースと思った方がよい
- 水場 :割引沢を遡上している際は補給可能 天狗尾根からは給水不可
持参した装備&行動食
- 30Lザック
- アプローチシューズ
- ヘルメット ※絶対に要持参
- 帽子
- ツェルト
- ヘッドランプ&予備電池
- 救急セット
- 防寒着&レインウェア上下
- 水2L
- 行動食(おはぎ4個、大福5個「、ロールパン5個、ポカリスエット粉末、アミノバイタル粉末)
- 日焼け止め
- サングラス
巻機山 割引沢からゆく天狗尾根コースのPRポイント
- グレードは非常に高いコースだが、普段の登山では物足りない方、アドベンチャー好きな方にはたまらないコース
- 割引沢は夏場でも雪渓が多く残り、非常に涼しいコース ※ただし雪渓のクリアは難しい
- 天狗尾根からの展望はとても良く、井戸尾根とは違った荒々しい自然の造形を目の当たりにできる
巻機山 割引沢からゆく天狗尾根コースの要注意ポイント
- ルートが不明慮、雪渓の崩落、斜面の崩壊などリスクが高く、クライミング能力も必要とされる高難易度のコース
- 最も難易度が優しくなる時季が秋口のみのため、登れる期間は非常に短い ※それ以外の期間は残雪の沢登経験が必要
- 登山道というよりバリエーションルートに近い登山コースのため、沢登やルートクライミングなど専門的な山岳知識を有し、読図もできるリーダーが不可欠
- 単独登山は極力控えた方がよい ※ケガのリスクが非常に高いため、万が一の時、自力下山が困難になる可能性が高い
Dr.kコースタイム
登山開始時刻:5時28分
下山完了時刻:10時39分
合計所要時間:5時間10分
- 登山口~ヌクビ沢出会 1時間10分
- ヌクビ沢出会~割引岳 1時間55分
- 割引岳~巻機山山頂 25分
- 巻機山山頂~登山口 1時間39分
※1~4 休憩時間は含めず
地図を用いた詳細なログやコースタイムは下記のヤマップの活動記録を参照してください!
登山口(桜坂駐車場)~ヌクビ沢出会い
本日は巻機山の割引沢~天狗尾根コースを経由して山頂を目指すルートで登ってきました(^^♪
以前から気になっていたルートで、天狗尾根コースとヌクビ沢コースに関しては上級者向けとの認識があったので、本当に難しいのか検証してきました。
結論から言うと、私のような沢登をやる人間からすると問題ないレベルで、沢登で捉えるなら初級レベルです。
ただし、一般登山道しか歩いていない方にとっては超上級者コースだと言えるでしょう!
なぜなら滑落するリスクが非常に高いし、上部斜面の崩落や雪渓の崩壊など、とても危険がはらんでいるからです。
さらにテクニカルな登攀能力も必要となる箇所もあるので、もし普通の登山道として認識しているようなら考えを改める必要があります。
では論より証拠ってことで当日の様子をご紹介します!
今日は台風の接近に伴い、駐車場に到着しても人の気配はなく、指で数える程度の登山客しかいませんでした・・・
台風直撃ではないので、もうちょっといると思ったのだけど、夏の巻機山はこんなもんかなと思いながら登る準備をする。
フェーン現象で下界の気温が39度との予報があったけど、今日のルートは雪渓の残る割引沢を通るし、天狗尾根は恐らく強風で暑さを感じることのない登山だなと予想してました。
では、桜坂駐車場を出発します!
どんなコースが待ち受けているのか楽しみです♪
直進して1分もすると分岐が現れます!
ここを直進すると天狗尾根&ヌクビ沢コースへと続きます。
右へ折れると井戸尾根ルートですね♪
一般登山者は井戸尾根ルートを通って登ります☆
私は天狗尾根コースですので直進します!
車一台通れる林道を通過していきます!
ほどなくすると開けた場所に出ます。
左手に小屋がありますが、これは無視して右斜め方向に向かうと登山道が続いていますので、それに続いていきます。
分かりにくいかもしれませんが、頑張って小さな標識を見つけて進みます。
また、しばらくトレースが不明慮になることがありますが、よ~く探せば進むべき方向が分かりますので慎重に(^^♪
進行方向左側にまた小屋が現れますが、これも無視して前方に進みます。
ちょっとした沢を渡渉したら、あとは割引沢と巻道の分岐が訪れるまで進むだけです!
しばらく進むと上の写真のように分岐の標識が現れます!
左は割引沢、右は巻道です。
個人的に疑問に思うのですが、この巻道っていかがなものなのかなと・・・
沢の状態が悪条件だったり、天候不順で沢を回避するためのものかと思いますが・・・
もしこの先の天狗尾根コースとヌクビ沢コースがどのような登山道なのか、地形図を見て判断できる方なら普通引き返すと思います。
もし割引沢の状態が悪く、とても進める状況でないなら、巻道を選択しないで必ず引き返しましょう!
さて、持論は以上にして私は割引沢へと進みましたので物語の続きを(笑)
割引沢へ入渓です!
これを見ると完全な沢登の光景ですね(笑)
一応、登山道なのでお気楽な気分できたけど、入渓したとたんに沢登の緊張感に包まれました(;'∀')
あと、沢へ入渓したら必ずヘルメットを着用してくださいね!
どこからでも落石は発生しますし、万が一滑落した際はこのヘルメットがあなたの頭を保護してくれます!
私も何度か沢で滑落した時がありますが、このヘルメットには大変お世話になりました(笑)
まあ全身のダメージが激しすぎて翌日は車いすってこともありましたが・・・
こんな感じでところどころマーキングされているので、それに従って歩いていきます。
でも、正直マーキングの通りに進まない方が楽だったりします。
そう思いつつもマーキング通りに進まないと滝の登攀になってしまうケースあるので、自己判断できない方はマーキングの通りに進んでください。
また後で話しますが、途中で雪渓が出現しますので、当然マーキングは雪渓の中に埋まっていますので、その時はご自身の今までの登山能力が試されるときです!
難所ではないけど、こんな感じで支点と残置ロープが出てきます。
落ちても問題はないけど、濡れたくはないので慎重にトラバースしていきます!
沢にしかけられている支点は風化の影響が大きいため、私はほぼ信用してないので使いません。
もし使う方はしっかり荷重テストしたり支点の状態を確認してくださいませ!
途中で滝が出没しますので、ここはマーキングの通りに巻道を選んで進みます!
巻道といってもけっこうシビアな状況で、スラブ状の滑りやすい岩場や足場の安定しない草地を超えていくので、決して足を滑らせたりしないでください。
けっこうな落差があるので、落ちたらタダでは済みませんよ!
しばらくこんな感じの斜面をトラバースしていきます!
これ見るとどこが登山道なんだろう?
って思っちゃいますけど、一応赤色のマーキングがされているので見失わないように進みましょう!
しばらくするとトラバースが終了し、再び沢のボトムへ下ります。
するとこんな場面に遭遇します!
一体どこから登ったら良いのだろう?
私はけっこう迷いましたね・・・
そんなに難しくないから、フリーでこのまま沢を直登してやろうかなと思っちゃいました(笑)
一応、私が記入した赤のラインが登攀ラインになります。
ここはややクライミング要素を必要とする難所ですので、登攀する際は注意して登ってください!
さっきの写真で赤線ライン2つめの折れ線からみた光景です。
一応、残置ロープが垂れているので、これが目安になると思います。
これを登ってからのトラバースがやや大変なので、こちらも慎重に進んでください。
登りきると一安心!
巻道の登山道に出るので道なりに進みます。
そしてしばらくすると再度ボトムへおります。
さあ、ついに天狗尾根を確認!
そしてこの沢の突き当りがヌクビ沢出会になります。
ちなみに◎印でマーキングしたのが天狗尾根の天狗岩になります!
実際には天狗尾根の取りつきは天狗岩を超えてからなので、あの頂きには登りません!(^^)!
ヌクビ沢出会~割引岳
ヌクビ沢出会目までいくと、このように分岐の目印が現れます!
ここを左に曲がります。
するとすぐに嫌なものが視界に入ってきます!
そうです!
残雪の雪渓ですね・・・
しかもしばらく続きそうな感じです。
予想はしてたけど、なかなかの量ですね。
接近してみるとこんな感じ!
完全なスノーブリッジ状態です!
さて、ここで3つの選択肢が登場します・・・
- スノーブリッジの洞窟内を直進する
- スノーブリッジの上を歩く
- 巻道を選択
このままスノーブリッジの洞窟内を遡上した方が楽ではあるが、出口がどうなっているのか分からないので、ここは雪渓の上を歩くことを選択!
雪渓上は氷山のように固くなっているが、表面が泥や砂などで覆われているため、これが滑り止めになってくれるのと、ところどころ窪みに足をのせることでアイゼンがなくても歩けます。
でも、皆さんは必ず簡易アイゼンでも良いので持参してください。
それなりに雪渓を歩く達人でないとすんなり歩けませんので(;'∀')
こんな感じで雪渓の際をせめていきます。
途中で雪渓がきれているように見えたので巻道にエスケープ・・・
あの上を歩く気にはなれませんね・・・
そのままブッシュを頼りに巻道を進みます。
あ!ちなみに簡単そうに巻道を進んでいるように言っているかもしれませんが、けっこう難しいので、クライミング経験のない方は絶対に真似しないでください。
支点はとれないですし、まともな足場もなく、万が一滑落するとヤバイですので・・・
なので、先に言っておきますが、もしこの記事を読んでチャレンジしてみたいと思った方は9月下旬以降にお願いします。
8月の中旬ですが、中途半端に雪渓が残っていて超デンジャラスです(;'∀')
さて、2本連続の雪渓をクリアし、振り返るとこんな感じ!
もし時を戻せるなら、このままスノーブリッジの中を通過しろと言いたいですね・・・
万が一崩れた際は一発アウトですが、ケガする可能性で言ったら巻道が一番リスクが高いです。
まあ実際に中を通過してみないと分かりませんけど・・・
一応、2本目の雪渓はこの赤線の通りに通過しました。
さて、3番目の雪渓の登場です!
恐らくこいつを超えれば天狗尾根の取りつきになるかと思いますので、最後の核心部を通過します!
ここは出口が想像できたので、スノーブリッジ内を通過します!
洞窟の出口は複数ありますが、ここは最奥の分岐を右に曲がります!
しかし、私はその手前にある出口へとエスケープしてしまったため、やや巻道を余儀なくされました・・・(;'∀')
クライミングと同じでオンサイトは難しいですね・・・
すると、写真の☆印から出てきます。
まあ私は出口を誤ってしまったため、面倒な巻道を進行することになりましたが・・・
とりあえず、矢印方向の赤丸の地点まで行けば核心部は終了ですし、この試合勝ったも同然です!
ただ、ここで天狗尾根の取りつきを見過ごしてしまうと大惨事に発展してしまうため、本当に気をつけてくださ。
可能なかぎり、GPSまたはGPS機能のついたアプリを起動させておくことをオススメします!
天狗尾根の取りつき!
ここまでくれば一安心!
あとは普通に登山してくださいませ(笑)
ちょっとした鎖場があるが、ここまで問題なくこれた方はこんな鎖必要ありません(笑)
この先、うっかり流水溝の斜面を登攀してしまいそうになる紛らわしいルートですが、登山道はしっかり仮払いされているので、漫然と登らずしっかり見極めて登りましょう!
エグイくらい傾斜のつよい斜面ですが、ここまでの緊張感に比べたら肉体的な苦労はなんてことないでしょう(笑)
そして振り返るとこんな景色・・・
なかなか沢も岩壁の荒々しさもエグイですね(笑)
よく登ってきました。
しばらく登ると展望の開けた稜線に出ます。
しかし・・・風がとてもつよく視界もいまいちなコンディション・・・
思わぬところに池塘出現・・・
ゴリゴリの体育会系的なコースだったけど、これを見るとちょっと癒されますね(^^♪
とても良い感じです!
さて、癒し空間から再度修羅場の局面へと突入!
さあ、ここまで登ってきました!
もうすぐ割引岳へと到着です!
しかし、風が尋常でなく強い・・・
かがんでいないと耐えられないほどの強風です。
割引岳~巻機山山頂
そうこう言いながら割引岳へ到着!
山頂の標識は横たわっていましたが、この強風の影響ではありませんよ!
さて、視界もないし風も強いので、さっさと巻機山山頂を登って下山しますよ♪
巻機山への主稜線を進む!
巻機山山頂~桜坂駐車場
15分足らずで巻機山の標識へ到着!
しかしご存知の方が多いように、これは巻機山の山頂ではありません!
ここからさらに5分~10分ほどのところに最高点があるのです!
視界のない山頂への登山道を歩く・・・
そして・・・
巻機山山頂へ到着!
ただ単にケルンが積んであるだけです・・・
山頂なのに味気ないですね・・・
さあ、息が出来ないくらい風が強いのでさっさと下山です!
うっすらと一時的に視界が出てきました!
一気にくだります。
巻機山の避難小屋へ到着!
ここで少しエネルギー補給です!
持参したおはぎを頂きます♪
とまあ、ゆうちょに食ってる暇もないので、これもさっさと食って下山です(笑)
ニセ巻幡山まで登り返し!
あとはノンストップで下山!
特別走ったわけではないが、小屋から1時間弱で下山完了!
そして、駐車場まで戻ってみても、車の台数は朝の時点とほとんど変化なし!
秋の巻機山は恐ろしい登山客で押し寄せるけど、夏場はそんなに多くないようですね。
さて、いかがでしたでしょうか?
今回は天狗尾根コースでしたが、次回はヌクビ沢もチャレンジしてみたいと思います。
そして、秋口にはプロフェッショナルなクライマーと共に米子沢か割引沢を直上してみようと思います。
やはり秋の巻機山が紅葉も素晴らしいし、残雪も消えているので一番いいですね!