※この記事は2019年8月3日の新潟県の名峰『荒沢岳』の登山記録となります。
さて、みなさんは荒沢岳って知ってますか?
新潟県の魚沼地域の山で、とっても山深く雪深く秘境のような場所に構える山ですよ!
周囲には日本100名山の越後駒ヶ岳、日本200名山の八海山、同じく200名山の中ノ岳といった名峰が連なる山域なんですね。
ちなみにこの3つの山を総じて越後三山と呼ばれています。
そんな名峰揃いの中、存在感を密かに隠しているのがこの『荒沢岳』です!
そしてこの山も日本200名山に数えられる名峰ですよ!
でも、先に紹介した越後三山の存在感が強すぎて表舞台にはたてないし、関越道を走っていても荒沢岳は奥に隠れているため残念ながら見えない・・・
こんな控えめな存在感を発揮している荒沢岳ですが、きっと登ったら絶対に忘れられない山になること間違いなしです!
もしかしたら『こんな山、もう二度と登らない』って感じでトラウマになるかもですしれませんけど(笑)
では、そんな荒沢岳の登山の記録についてご紹介していきますね♪
荒沢岳登山の詳細 ※難易度上級者クラスの鎖場
荒沢岳の概要
- 所在地:新潟県魚沼市の山で日本200名山
- 標高 :1,969m
- 難易度:上級者向けの日帰りルート
- 危険度:鎖場が多く滑落のリスクと重大事故につながるため慎重さが必要
- コース:銀山平からの1ルートのみ
- 水場 :登山口付近に1ヵ所のみ
持参した装備&行動食
- 30Lザック
- アプローチシューズ
- ツェルト
- ヘッドランプ&予備電池
- 救急セット
- 防寒着&レインウェア上下
- 水1.5L
- 行動食(つぶあん串だんご3本、大福3個、ドーナッツ3個、ポカリスエット粉末、アミノバイタル粉末)
- 日焼け止め
- サングラス
荒沢岳登山のPRポイント
- 核心部(前嵓)では鎖場と岩場が連続し、ライミング要素を楽しめる
- 難所が多くフレキシブルな動きを要求されるため全身の筋肉とバランスを鍛えられる
- ほとんどが稜線歩き且つ痩せ尾根のため、ロケーションが抜群に良い
- 高度差があるので多様な高山植物が見られる
荒沢岳登山のウィークポイント
- 難解核心部(前嵓)の鎖場と岩場の連続で重大事故のリスクがある
- 体の使い方、バランス感覚がないと登ることが難しく、また高度感に恐怖を感じる。
- 稜線歩きがメインなので、悪天時は暴露にさらされることと滑りやすいため基本登山不可
以上のことを踏まえると、かなり男性的な山で体育会系的な山ですので、これから登られる方はそれなりの準備と経験を備えてから登られてください。
鎖場の傾斜もかなりきつく、更に滑落すると命の危険に関わるレベルです。
一般登山道の中でも一味違う荒沢岳をどうぞご堪能ください(^^♪
Dr.kコースタイム
登山開始時刻:6時11分
下山完了時刻:11時58分
合計所要時間:5時間37分
- 登山口~荒沢岳 3時間
- 山頂で休憩 1時間
- 荒沢岳~登山口 1時間35分
地図を用いた詳細なログやコースタイムは下記のヤマップの活動記録を参照してください!
銀山平登山口~前嵓
さて、このクソ暑い毎日が続く中、本日は荒沢岳に挑むことにしました!
ちなみに荒沢岳は生まれてはじめて登ります(笑)
6月下旬に越後駒ヶ岳の山開きイベントで荒沢岳の登山口には寄りましたが、登山をするのは初です!
越後三山の山域はほぼ登りつくしたのだけど、裏三山の一角と呼ばれている荒沢岳に関しては足をつけたことがなかった。
知らない世界を知りたい好奇心でチョイスした荒沢岳はどんな姿を見せてくれるのか・・・
いざ出発です!
あ!ちなみに登山口のトイレはクソ綺麗ですので是非利用してみてください!
登山中の不安物質を一掃してからスタートすれば、きっと幸せな気分で登山が出来ると思いますよ(笑)
では登山届もしっかりポストインして登山開始です!
スタートは平坦な道を歩きますが、そんなのはつかの間・・・
すぐに登り地獄がやってきます!
とりあえず進行方向が突き当たるまで進みます!
ん?
なんだこれ?
自然の世界に超不自然なものが視界に入ってきました・・・
どうみても蛇口ですよね?
捻ったら普通に水が出てきました・・・
まあつまり勝手に安心して飲みやがれてきな感じの水場なんでしょう!
どう考えても、こに蛇口があるのは飲み水確保以外の理由はないはず!
でも持参した水があったので下山後のお楽しみってことで先へ進みます・・・
とにかく出だしから登りまくりの急坂です!
おまけに早朝だってのに蒸し暑さが半端なく不快指数もうなぎのぼりです(笑)
でも思ったよりか道幅が広く歩きやすいので、そんなに不快ではないかもしれませんね(^^♪
少しづつテンションが上がり、スタートから40分ほど登っていると・・・
前山に到着!
ここから荒沢岳主稜へとダイレクトに向かっていく尾根となります。
そしてここから見える景色には・・・
まだまだ遠いけど、荒沢岳が視界に入ってきました!
さあここから頑張って頂上へと向かいましょう!
ここからは荒沢岳頂上までいくつかの小ピーク越えの連続なので、当然アップダウンが繰り返されます。
せっかく登っても下ってしまうので、そんなもどかしさにも耐えながら登りましょう(^^♪
ということでさっそく下っていきます!
美しいブナ林帯の尾根を歩き、比較的平和な登山道が続きます・・・
今はですけど・・・
さて、眺めがどんどん良くなってくる!
この荒沢岳のPRポイントでもありますね。
とにかく長めの良さは抜群です☆
そして視線を頂上の方向へ向けると・・・
ん?
なんだか突出したピークが見えるな?
そう、これが荒沢岳の名物ともいえる『前嵓』です!
これがこの山の最大の核心部であって、それがコース中盤にやってくるのです!
この時点ではそんなに大したことないだろうと思って登ってました。
そしたらとんでもなく!
一般登山道にしては超イケイケなルートでした(笑)
分かりやすく別な言い方に変えると『足滑らせたら終わる・・・』
って感じの超デンジャラスなコースでビックリでしたね(;'∀')
とにかくクライミング要素たっぷりの岩々ゾーンなのです!
まあ私みたいにクライミング大好きな人間で、リードクライミングをガツガツ登ってる人間からすれば全く問題のないレベルです・・・
ただ、ロープで確保されてないのと、夜間の結露でめちゃめちゃ濡れまくっていたので案外ビビッてました(笑)
さて、前嵓の取りつきは標高1300m付近で、このあたりから一気に鎖とはしごの連続となります
とはいっても、そこそこクライミングしてる方なら鎖や梯子は一切使わなくても登れるレベルです!
ただ万が一足場が崩れたり、つるっと滑ってしまった場合は洒落にならないので、プライドや過信は捨てた方が良いかもしれませんね。
それと、フルパワーで鎖に頼りすぎるのも考え物です。
あくまでも鎖は補助程度に利用して、しっかり自分の足でたって登るのが基本になります。
というよりかフルパワーで鎖をつかんでいたら最後まで体力が持ちませんから・・・
序盤の鎖場を何か所かやり過ごすと・・・
なんだかすごそうな岸壁が現れてきましたね!
あれを完全に超えるまで平和は訪れませんよ!
気を抜かず次に進みます!
ちょっくら進むと今度はクライムダウン・・・
径の太いトラロープが残置されてますので、これを使って下っていきます。
ただ下りる前に必ず確認して頂きたいのが、ロープの強度と支点の確認を怠らないでください。
自然の暴露にさらされている設置物に絶対の安全なんてのは存在しません。
まず先にロープがかけられている支点を確認して、しっかりとまっているか確認してください。
脆弱性のある結びや支点の落下具合など確認してください。
そしてロープの強度に問題がないか、下りる前に安全な方向にロープをフルテンションかけ、それで問題なければゆっくりバタバタしないよう下りてください。
基本的に鎖や梯子は100%信用できるものではありませんので、利用する際はしっかり確認してから使ってくださいね(^^♪
さて、クライムダウンで下りきったら今度は斜面をトラバースします。
ここのトラバース箇所はとにかく落石地獄ですので、常に上方を確認しながら移動してください。
さらにここで休憩したり足を止めるのも厳禁ですよ!
落下物の可能性のない場所まですみやかに移動しましょう。
トラバースが終わると今度はまたまた鎖場です!
この鎖はなかなか長いです!
そして荒沢岳一番の急斜面で高度感のある鎖場です。
しかも落ちたら一発退場のゲームオーバーって可能性もあるので、ここでしっかり息を調えてから登りましょう!
途中で鎖に連結されたロープがありますが、これもあんまりよくないですね・・・
いつか破断するリスクがあるので、フルテンションでこのロープをつかむのはやめましょう!
あくまでも自分の足でしっかり登り、ロープは補助程度に!
そしてこれを登りきると・・・
前嵓の核心部を脱出!
脱出したかどうかは上の写真のように解放感のある景色が広がるので、ここまでくればあとは普通の登山道に戻ります。
ここまでで行程の70%ですね♪
では、残りの行程を楽しみましょう!
前嵓~荒沢岳頂上
気持ちの良い荒沢岳の主稜線を素直に登っていきます!
爽快会極まる青空とダイナミックな山の稜線が心にしみてきますね♪
ん?
山頂直下まできたけど、ガスが上がってきたぞ・・・
せっかくの青空だったのに残念・・・
でも陰で灼熱地獄から解放されて助かりました・・・
この時期は天気が良すぎると気持ちよくても体力はどんどん奪われますからね(笑)
そして最後の登りを頑張ると・・・
ついに荒沢岳に到着!
周囲は少々ガスに包まれてはいるが、問題のない360度の大パノラマ!
登ってきた登山道を振り返る!
銀山平が遠くに見えます。
目の前に広がる稜線は裏三山の縦走路です。
そして右手に見えるのが中ノ岳!
涼しくなった秋口に、裏三山を縦走するつもりです(^^♪
もちろん1dayでやりますよ!
以前に越後三山を9時間で縦走したけど、裏三山は恐らく12時間はかかりそうな気配がするな・・・
なんにしても楽しみですね♪
4
さて、山頂でのんびりしすぎていたらガスられてきたので、早々に下山を開始します!
あ!それとせっかくなので山頂直下で見られた高山植物をご紹介したいと思います♪
※クルマユリ
※コオニユリ
※クガイソウ
※イワオトギリ
※キンコウカ
※オヤマリンドウ
※ニッコウキスゲ
荒沢岳山頂から登山口
さて下山します!
ここまでお読みになった方なら想像はつくと思いますが、下山が最もリスキーな山なんですよね・・・
登り以上に下山はとにかく危ないので、前嵓エリアをどのようにクリアするかですね。
こんな感じで垂直落下してしまいそうなほど斜度がきつく、高度感のある前嵓の核心部・・・
鎖だけで降りようとすると手がつかれて大変なので、ここもしっかり足を使っておりましょう!
そして下りが大変だったところは、今度は登りが大変(笑)
めちゃめちゃスラブってますので、滑って落ちないようしっかり足裏のフリクション使って登りましょうね!
言っている意味分からない方は、ロープがぶち切れないよう気を付けて登ってください。
早々に前嵓片づけたら、あとはもう危ない場所はないのでゆっくり下山しましょう!
はやく登山口付近にあった水場で喉を潤したい!
正直、この時期にこの山を登るなら2リットル以上の水は携帯しておきたいですね。
全身運動を強いられる山なので、他の山以上に体力使うし汗もかきますからね・・・
今回は1.5リットルだったので失敗・・・
さっそく登山口付近の水場で給水!
めちゃくちゃキンキンに冷えてて美味しい♪
飲んで大丈夫なの?
そんな心配をする方もいるかもしれませんが大丈夫!
私はこの水を1.5リットル飲み干しましたが現在に至るまで何も問題ありませんでした(笑)
もちろん、山の水も絶対安全とは限らないので、胃腸の弱い方は控えた方が良いかもですね。
ようやく下山です!
お疲れ様でした☆
なかなか痺れる山でしたね(笑)
スリルを求める方ならちょうど良いかもしれませんね。
ただ、あまり登山経験のない方や、岩場に慣れていない方は自粛した方が良い山かと思います。
そして、このクソ暑い時期に登るなら体力温存のため4時くらいにスタートした方が無難です。
暑くなってからスタートしてからでは尋常でない汗と体力を消耗しますので!
これから登られる方は参考にして頂ければと思います(^^♪
以上、荒沢岳の登山記録でした☆