『カタクリ』
ユリ科カタクリ属の多年草 花期は3月~5月
北日本を中心に多く分布し、低山の落葉広葉樹の林床部に多く自生する。
さて、カタクリの名の由来から紹介しましょう!
名の由来は、カタクリの鱗茎から片栗粉の原料である『でんぷん』を抽出し料理に使われていた時代があったことからついたのではないかと思われます。
ただ大して多くのでんぷんを抽出できるわけではないので、現在は、じゃがいも、サツマイモが代用品として使われています。
と、由来が分かったことで、お次はこのカタクリの生態について紹介します。
なかなか面白い機能を備えた植物なので解説のしがいがあります!
それこそ、私が住んでいる新潟県の角田山は、カタクリやユキワリソウの群落が素晴らしいということで県外からも登山客が訪れるほど人気があります。
それだけにカタクリには人を魅了するなにかがあるのでしょう!
ではでは、まずなにから話すべきなのか…
そうですね、カタクリの自然界で生き残る繁殖術について紹介します。
植物は繁殖するために花粉をまかなければなりません。
その花粉の伝達手段は、風で飛ばしたり、虫が運んだりします。
それが同じ仲間の植物へと届き、受粉することでタネを形成していくのです。
さて、花粉を飛ばす手段と同じように、こんどは形成したタネをどうするか考えなくてはなりません。
カタクリは悩みました・・・
『俺たちのタネは風で飛ぶほど軽くもないし、かといってアオキ君のように赤くて目立つタネを作ることもできないから鳥に運んでもらうことも出来ない…』
カタクリがそのように悩んでいると目の前でせっせとエサを運ぶアリ達をみて考えました!
『そうだ!この働きまくっているアリに俺たちのタネを運んでもらおう!』
そうなのです、カタクリはタネを運ぶ手段にアリを狙ったのです。
カタクリの種子にはエライオソームという物質が付着しており、これらは脂肪酸、アミノ酸、糖などの化学物質を含んでいます。
この物質はアリにとって好物で、エサとして種子を巣に持ち帰り、タネに付着しているエライオソームのみを食べてくれ、残ったタネは巣の近くに放置されます。
これによってカタクリのタネは広く遠くに運ばれるのですね!
働きまくってくれるアリを活用した見事な戦術です!
さてお次は葉っぱの枚数についてです!
『え?葉っぱの枚数』
そう!あまり気にもならないようなお題かもしれませんが、実はカタクリの生態の中で葉っぱの枚数に応じてある変化が起きるのです。
ちなみに葉っぱの枚数とは以下の写真のように・・・
とこんな感じで、大きな葉っぱの右隣にもう一枚葉っぱがありますが、これはそれぞれ別の個体(鱗茎)です。
一つの個体(鱗茎)から発生する葉っぱの数は2枚が上限となり、同じ個体であれば付け根から2枚が生える形になります。
ちなみに以下の写真のように!
生え際から2枚の葉っぱが出てますね!
さて、ではこの葉っぱの枚数でどんな変化があるのか?
答えは恐ろしく簡単ですよね?
そう!
葉っぱが1枚の写真は花がついていませんが、2枚の写真は花がついてます!
実はこれって単なる偶然ではなく、カタクリの生態のルールのようなものなんです。
花が開花する時は必ず葉っぱが2枚で出現します!
ユリ科の植物に多い現象ですが、カタクリの発芽一年目の個体は花を咲かせるほどのパワーがなく、糸状のちんけな葉っぱが地上に現れる程度です。
しかしながら、年数をかけるごとにジワジワとエネルギーを蓄え、7~8年生くらいになった時に満を持して堂々のカタクリを開花させるのです!
当然、花を開花させるためにエネルギーを今まで以上に使うので、そこで葉っぱを2枚にすることで通常の倍のエネルギーを急速充電及び利活用ができるわけですね!
植物の葉っぱの光合成とは、我々が使用しているソーラー電池と同じようなもので、光にあたっていれば受電も出来るしエネルギーとして利用も出来る!
だから葉っぱの数は大きな意味を果たすのです!
※と以上、緑色の文章は私の個人的な見解です。
でも、恐らくそういう意味で間違いないと私は思っています。
間違っていたらごめんなさい(^.^)
さて、最後にカタクリの分かりやすい特性について紹介します。
一体どうしてしまったのだろうってくらい凹んでいます…
しかし、明るい兆しがみえると!
まるでシャチホコのように反り返り、さっきまでふさぎがちだった花も開花状態です!
そう、カタクリは光や気温に敏感に反応し、朝方から昼にかけて気温の上昇と太陽光の照射によって花が開花し、夜になると再び花を閉じる習性があるのですね!
なので、凹んでいるカタクリを見ても、やがて希望の兆しがみえた時には見違えた状態になって姿を現しますので放っておいてくださいませ(笑)
以上、カタクリについて解説致しました(^.^)