ケアブラチャン『毛油瀝青』
クスノキ科クロモジ属の落葉樹
アブラチャンの変種で、本州日本海側に分布し、葉の裏側の脈の上に毛があることで見分けることが出来ます。
そもそもアブラチャンとはなんぞや?
って話になると思うので、アブラチャンについて解説致します。
クスノキ科の植物はたいがい樹皮を剥いだり潰したりすると良い香りのするものが多いですが、このアブラチャンも同様にちょっぴり良い香りがします。
ちなみに私が好きなクロモジ(クスノキ科)は半端でなく良い香りです。
さて、まずはこの樹木を知るためには名前の由来を知ることが最も近道です。
どの植物でも同じことですけどね(^.^)
さて、アブラチャン(油瀝青)と書きますが、油と名がつくほどですから、この樹木には油分が多く含まれています。
そして瀝青(レキセイ)とは、炭化水素を主成分とした化合物で、いわゆる松脂(タール)のような粘着性のある油状の物質です。
ざっくり言えば、良く燃える物質ですね!
つまり、瀝青のように燃えやすく、油分が多いことからこの名がついたのではないかと思われます。
そして、本題のケアブラチャンとは、葉の裏側の脈の上に毛があるのでケアブラチャンと名付けられたわけですね。
アブラチャンは、果実や樹皮には多くの油分を含むため、かつては灯油として利用していたこともあるようです。
当然、燃えやすいので薪炭としても利用価値がありました。
私の知り合いのマタギの方は、川辺に自生するアブラチャンを鉈で切り落としては、よく焚火に利用していた記憶があります。
さらに、釣り上げたイワナをご馳走して頂いた記憶は今でも鮮明に残っています。
とまあ、アブラチャンは多少湿っていても燃えやすいため、焚火の材料としては凄く使いやすいのでしょう。
また木材としての利用は、材の柔軟性やしなりに強いことから、カンジキに使われることもあったようです。
現在では、里山に自生するこれら樹木の価値は非常に低くなりましたが、私達の先輩はこれら樹木の特性を活かし生活していたのですね。
今では合成樹脂や金属で作られたものが主流ですが、自然界に存在するものを応用して作る技術というものは、ハイテク化したこの時代にとっては逆に価値の高いものでもあり、それを人に伝えることは一つのサービスとして成り立つものでもある気がします。
私も、一度アブラチャンを使ってカンジキ作ってみようかな(笑)