白馬鑓ヶ岳 山スキー 中央ルンゼ滑走 収束する核心部「ノド」
2019年4月28日~29日
前代未聞の10連休を迎えたゴールデンウィーク!ギリギリまで行き先に悩んでいた結果、選んだのは北アルプス白馬鑓ヶ岳!
そして今回狙う滑走ルートは中央ルンゼとなりました。
これだけ長い休みがあり、しかも行き先の選択肢が多岐になると、山の選定だけで半端ないストレス(汗)
とりあえず、今回は冒険することを選択!
以前からチャレンジしたかった白馬鑓ヶ岳の中央ルンゼをやり遂げようと決意し、現地へ赴きました。
初日に白馬鑓温泉まで行きテント泊。
テントを設営し、時間があったので条件が良ければ今日のうちに中央ルンゼを攻めようと思案!
ちなみに、今回の記事については中央ルンゼの解説に特化するので、2日間の内容(別滑走ルート含む)については後日投稿します。
ということで、中央ルンゼについてガッツリ紹介していきます。
今後滑られる方、検討している方は是非参考までに一読して頂けたらと思います。
安易な気持ちで突っ込むと痛い目にあいます。
ではでは、小日向のコルからみた白馬槍ヶ岳の全体像です。
中心部に映っている山が白馬槍ヶ岳のピーク及び主稜線となります。
そして、中央ルンゼは下記の赤線の通りです。
ご覧のとおり、頂上部はそれなりに開けていますが、中盤になってくると一気に滑走ルートが狭くなっているかと思います。
これが中央ルンゼ最大の核心部であるノドにあたるわけですね。
いろいろと噂は聞いていたが、なかなかヤバイ滑走ルートであるとは聞いていたが、実際にこの目で本当にヤバイのかどうかジャッジしてやろうと思い、今回のチャレンジに至ったわけですね。
ということで、ピークまでのあらすじについてはすっ飛ばして白馬槍ヶ岳のピークへワープします(^.^)
もし前後の流れに興味のある方は、下記をクリックしてくださいませ!
読まれた方は温泉に入りたくなることでしょう(^.^)
あんまり温泉ネタ書いてないですけど(笑)
白馬鑓温泉 2019 テント泊BC(バックカントリースキー) ※山スキーで行く北アルプス秘境の温泉
『※本記事は冬山用です』 『これから夏山登山として白馬鑓温泉に行かれる方は、夏山用に別途記事がございますので、下記記事をご参照ください』 夏山 白馬鑓温泉 テント泊登山! ...
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ではでは、ピークへワープします!
↓
背後に映るのは白馬岳になります。
この白馬鑓ヶ岳山頂からみる白馬岳と周囲に広がる山々の景色が本当に好きです。
この日はとんでもなく快晴で、まさに滑るにはもってこいのロケーション♪
ちなみに、中央ルンゼに挑んだのは二日目になります。
初日にアタックを試みるも、斜面はカッチカチのアイスバーンで滑ったら滑落してノドに吸い込まれるだけです・・・(笑)
ではでは、さっそく中央ルンゼのエントリー口へと移動します!
さきほどの小日向のコルからみた赤線の斜面です。
これがピーク付近のエントリー口からみた光景になります。
写真でみるとあんまり迫力ないですね(笑)
大きく開けたバーンも、上記の写真の〇印のところへ向かって全てが収束します。
滑るにつれてどんどん斜面の幅が狭くなり、核心部までいくと最小幅3~4mほどになります。
なので、雪崩れや落石に関しても、この付近で発生したものは全てノドに向かって落ちていくので、この核心部を通過する時はリスクマネジメントに対する意識をフルマックス状態にしておかなければなりません。
まあ文章で説明してもしょうがないので、まずは動画にてご覧くださいませ(^.^)
けっこう長ったらしいので、動画を分割しました。
※中央ルンゼ 動画№1
本当、この瞬間は最高の時間でした(^.^)
これほどダイナミックな斜面を滑れるのは、過酷なアプローチを制した者の特権ですね!
ちなみに先に言っておきますが、動画映えするような迫力感や臨場感は最初の2~3分弱程度です。
それをお求めになる方は動画№2までで視聴を終わらせてください。
動画№3は動きが少なくつまらないと思います。
自分で撮影しときながら、自分自身がもどかしいほどです(笑)
でも、これから滑りを検討されている方は、じっくりご視聴頂ければと思います。
いくつか解説します。
本当、このルンゼはほんの2~3分程度でしか快適な滑りが出来ないのですね。
標高でいうと2,900mからエントリーして、2500mくらいでノド出現!
たったの400mですが、この間は本当に最高です!
しかし、それ以降は地獄の横滑りと斜滑降がまっています・・・
悪条件だと雪が繋がっておらず、板を抜いて突破する方もいるとか・・・
そんなことでノドは簡単にクリアできないわけです。
では引き続き動画№2をご覧ください。
動画№1ほどアクティブではないですが・・・
※白馬槍ヶ岳 中央ルンゼ 動画№2
さて、№2ではノド手前までの滑走をお送りしました。
ここまではいたって平和です。
では、いよいよ核心部ノドへ侵入です!
以下、ノド脱出までノーカットでお送りいたします。
超ながったらしいので、面白くなかったら早送りするか再生をやめるかしてくださいませ(笑)
動画を見る前にいっておきますが、案外なんてことない斜面に見えます!
私も撮影した動画をみるとそう思いました(汗)
でも、動画でみるのと自分の目で見るのとでは次元が違います。
このように写真や動画だと、斜面の傾斜に対して同じ角度でカメラを向けているため、うまく斜度が伝わらない
んです。
ノドとは関係ない写真ですが、上の写真のように、なんだか緩斜面のように見えちゃいますよね。
でも実際は30度以上の傾斜があります。
動画では実感がないかもしれませんが、多分、核心部ノドの平均斜度は45度くらいかなと思います。
最大斜度は50度を超えてくると思います・・・
さらにさらに、映像では斜面が真っ白で凹凸や溝がはっきり分からないかと思いますが、なかなかエグイ縦溝があちらこちらに入っており、その深さも10~50㎝くらいとかなり厄介です。
それがノドのセンターラインに入っていたりすると、もう小回りターンすら出来ません。
出来るのは横滑りで地道に高度を落とすだけです。
更に気をつけたいのがスラフです。
プチ雪崩みたいなもんですが、横滑りをすると時間差でスラフが襲ってきます。
それこそ斜度が45度もあれば、ガッツリ削り落としてしまうので、スラフの発生量も非常に多くなります。
後続で押し寄せてくるスラフに板が巻き込まれるとコントロールを失います。
板を回そうにも板がスラフで覆われてしまうと逆エッジをくらったように頭からひっくりかえってしまいます。
だから、横滑りをするにも勢いよく落とすのはスラフの餌食になるので、出来るだけ雪面に対して優しくじっくり滑り降りるようにした方が良いでしょうね(^.^)
このルンゼ上での転倒は滑落を意味しますので、とにかく安全第一でいきましょう!
あと、当然ですが雪崩も要注意です。
ノドに入ってしまっては、雪崩を回避する術がないので、降雪後の中央ルンゼは控えた方が良いでしょう。
ただ、私は降雪後であるにも限らず入ってしまいましたが・・・
思ったより雪の安定感があったのでね(^.^)
でも結果論にすぎないので、降雪時はやらない方がベストでしょう!
そして最も気を付けたいのが落石です。
とにかく落石が多く、雪面には大量の石が落ちています。
それこそ滑っていると石を踏んづけている『ガリガリ』音が頻繁に起きています。
滑走を終えて板裏をみたらとんでもなく傷だらけになってました((+_+))
問題は落ちている石ではなく、上方からの落石です。
なのでヘルメットは絶対に必要ですし、常に周囲の音や状況に気を使う必要があります。
それを踏まえてご視聴頂けたらと思います。
では、ノド侵入~脱出までの動画№3になります。
核心部へ飲まれてらっしゃい(^.^)
※白馬槍ヶ岳 中央ルンゼ 動画№3
見て頂いてどんなでしょうか?
かなり慎重すぎるというか、もっとガンガンいけちゃうのでは?
ベテラン戦士の方ならそのようにおもっちゃうかもしれませんね。
でも、さっきも言ったように、写真や動画で見るのと自分の目でみるのでは次元が違います。
さてさて、ここまでご視聴頂きありがとうございます。
中央ルンゼはかなり危険なところですので、挑まれる際はしっかり準備をして、慎重に滑りきってください。
一度ノドに入り込んだら登り返しはまずききません。
滑りきる覚悟を持ち、あらゆる雪面の状況、雪山のリスク対応できる方だけが挑戦されてください(^.^)