アオキ科アオキ属の常緑樹
開花時期は3〜5月
褐色または緑色で枝先に穂のようにつけ、花弁を4枚有し、子房下位、単性花で雌雄異株である。
新潟県で見受けられるアオキは、豪雪地特有に進化したヒメアオキという品種に分類され、無雪地帯のアオキと違い全体的に小型。
寒さに弱く、氷点下の寒さにさらされると枯れてしまうため、新潟県のような雪の多い地域では雪に埋もれることで生存を可能にしている。
以下、アオキの生態について解説します!
いたってどこにでもいるアオキさん!
家庭のお庭にも園芸用として改良された樹木のアオキもたくさん見受けられます!
通常は名前の通り、葉っぱは青々としていますが、観葉植物として用いられているアオキは斑模様となっており、明らかに自然のものと品種改良されたものを見分けることができます!
以下、アオキの名前の由来につい、て私の別の記事と同じ内容で恐縮ですが解説します。
アオキという樹木を漢字で書くと『青木』です!
青木?
写真をみて頂けると分かるように葉も枝も青々してますよね?
そう!
見た目がほぼ青い木だから青木なんですね(^.^)
めちゃめちゃ単純な名前の由来ですね(笑)
でも、植物の由来はいたって単純明快なことが多いようです。
さて、本題ですが『早春の赤い果実に秘められたカラクリ』についてです!
早春によく見受けられるこの赤い果実!
まだ彩りのない早春の山肌には常緑樹とスプリングエフェメラルの花々が開花しているくらいで、
まだまだ彩りに欠ける状態です。
しかし、そんな中、このアオキの赤い果実は一際目立つ存在で、我々の目線を一瞬引き寄せます!
明らかに目立ちますよね?
まだ落葉樹や草本類が覆い茂るわけでもないこの季節は、見通しもよく赤い色は非常に目立ちます。
実はこれってアオキの子孫を増やすための戦略なんですよ!
なんと、アオキの実(果肉部分)には発芽を抑制する物質が含まれているようで、高確率で発芽させるためには鳥に食べてもうらう必要があるようなのです。
それを食べてもらうことで、種子のみを吐き出してくれたり糞として排出してもらうことで果肉部分を一掃してくれます!
ちなみに↓の写真が果肉を除去した種子となります。
すると、ようやく発芽のスタートがきれるわけですね!
しかも、鳥に運んでもらうことで子孫の自生範囲を一気に拡大できる!
素晴らしい戦略ですよね(^.^)
同じ場所だけに同じ種族を増やしても互いに競争相手になりかねないので、あえて初期の状態は発芽出来ないようにしているのでしょうね!
それこそ、コンビニのセブンイレブンが、半径100m以内に10店舗もあったら同じ看板を背負っていても互いに生き残るために潰しあうだけですから(笑)
よく出来た仕組みですよ!
このアオキの赤い果実を好むのが、春になると南から北へと向かうヒヨドリのようです!
ヒヨドリの軍団が訪れ、上空から目に映る赤い果実を食べていってくれるようです(^.^)
実は、このアオキの果実の色にも意味があり、私達の目に映る色というのは電磁波の一種で、色として識別できる電磁波を『可視光線』と呼びます。
かなり科学的な話で申し訳ないですが、電磁波には波長があり、人の目には約400nm~800nmくらいの波長を色として識別出来ます!
これが可視光線と呼ばれる色の正体です!
この波長が長い方が私達の目に目立つように映り、遠いところからも視覚に入りやすくなります。
言わずとも皆さん分かってらっしゃるかと思いますが、最も目立つ色で波長が長いのは赤色ですよね?
そして最も目立たない色で波長が短いのは青色になります!
信号機はこの科学的な原理をしっかり応用してますよね?
赤信号で直進されても困りますし、直前になって気づいて急ブレーキなんてのも危ないです。
だから、遠くからでも認識しやすく止まれのサインは赤信号なんですね(^.^)
仮に、これが逆転して赤信号が直進で青信号が止まれだったら事故率はぐんとアップすることになるでしょうね。
絶対あってはならないことですが・・・・
だから、アオキの赤い果実は、ヒヨドリなどの鳥から標的になるようにわざと赤く染め上げているのです。
それは、他の樹木でも同じように赤い果実を実らせることが多いように、彼らの子孫繁栄のための戦略なんですね!
実は凄い樹木ってのは、このようなアオキの優れた戦略性に惚れての本記事のタイトルとなりました(^.^)
実は、まだまだ自慢したいことがあります。
ヒヨドリの大群がアオキの赤い果実を一掃してくれた頃・・・
地域にもよりますが、時季的には5月半ばころでしょうか…
赤い果実はありませんが、いびつな形をした緑色の果実が残っていたりします。
※上記のいびつな形をした緑色の果実は寄生したものと思われる。
実は、この果実の中身には『アオキミタマバエ』の幼虫や蛹が寄生しており、アオキの実にしか寄生しないハエの仲間です。
6月初旬頃に羽化し、雌は結実したばかりの小さなアオキの果実に卵をうみつけます。
羽化したアオキミタマバエの幼虫は、果実の栄養をガッツリ吸収し越冬し、翌年に同じサイクルで誕生してくるのです!
ここでまたアオキの凄さというか・・・
アオキが凄いのではなく、このアオキミタマバエとのコンビが凄いといった方がいいでしょうかね。
このアオキミタマバエの幼虫が栄養をガッツリ吸収することで、果実は種子が形成されず、更に果実の色が赤く染まりません。
つまり、赤くないアオキの果実はヒヨドリなどの鳥の標的対象として除外されるのです!
赤く染まっていれば果実ごと丸のみされて終了です。
生存するための知恵というか戦術というか、知れば知るほど自然界のシステムに私達人間は脱帽ですね(笑)
さて、最後にアオキは雌雄異株だと冒頭でお伝えしましたが、せっかくなので男性女性の区別が出来るようちょっぴり解説します。
人間と同じように『あなたは男性ですか?それとも女性ですか?』
なんて聞いたらアオキさんに失礼ですからね(笑)
では、まずは男性バージョンの雄花の写真です!
花弁の数は4枚で紫色、または褐色に近い色で、写真のように雄しべが4本ある。
対して雌花の方はどうかというと・・・
下記の写真をご覧ください。
ぱっと見ると花弁は同じ色をしているし、形もそっくりだなと思うかもしれません。
でも全体的に様子が違いますよね?
まず決定的な特徴として、雌花には当然ながら雄しべがありません。
なので、花弁の中心にあった4本の雄しべが消えているかと思います。
代わりに雌しべが一本花弁の真ん中についてます。
あと、撮影したのは3月下旬ですが、明らかに雄株の方が花の開花が早く感じられ、雌株の方は花の開花が遅いように感じられました。
実に面白い植物ですね。
まだまだ、一年を通してリサーチしていきたいと思います。
分かり次第投稿させて頂きます!